「人口減少時代」。この言葉は今や聞き飽き、陳腐化した言葉とすら感じる者も多いのではないだろうか。しかし、企業家にとっては非常に恐ろしい事象である。企業は需要に応じて供給することで価値に変え報酬を得て存続することが可能である。つまり人口減少とは、ごく一部の特定の業種以外は一般的に需要が減少することである。ややもすれば既存の事業だけでは売上が減少し企業を存続することが難しくなる。企業が企業であり続けるためには、経費全体を見直して縮小させるか、人口対比の売上拡大を行っていくか、需要がある新たな地域、産業へ進出しなければならない。いずれも変化をしなければいけないのである。目の前の仕事を熟していくだけで仕事が増え、企業が存続できる人口増大時代とは逆なのである。そのため経営の役割が今まで以上に重要となってくる。
まさに一般社団法人北海道中小企業家同友会苫小牧支部の青年部である友知会は「よい会社をつくろう。よい経営者になろう。よい経営環境をつくろう」と経営に重きを置いた団体の青年だからこそ学ぶべきことが数多くある。私たちが企業家を退任するまでの長期間、どのように企業を存続発展させていくかは、青年期で得た知識や経験を基に時流を読み経営を行ってい
くかに懸かっている。
では、青年期の我々が何十年先でも自らの人格に影響させるほどの強烈な企業家としての原体験をどのように経験できるのだろうか。私は、人同士の摩擦であると考える。摩擦は熱を帯びお互いに影響を及ぼし、時には形すら変えてしまう。「人は人でしか磨かれない」という言葉は正に摩擦によって生じる肯定的な変化だと考える。それには、多くの人と同じ目標に向かうために考え悩み行動し、時間を共有することが重要である。
そして、最も重要なことは自発的に研鑽の場に身を置き主体的に事を進めることである。知識や経験を自らの血肉にするためには、自発的な主体者とならなければいけない。その理由は三つに大別される。一つ目は、多くの論文にも示されている通り受動的学習より能動的学習の方が効果的とされるからである。二つ目は、混沌とした時代だからこそ答がある訳ではなく自ら答を導きださなければならないからである。三つ目は、何より我々は企業家である。会社の主導的な立場を担う我々は誰よりも主体者でなければならない。
そこで、本年は自らが成長したいと思う者が成長できる多くの機会を提供する。
また、青年期の我々が集う理由は会員間の交流も重要な要素である。同じ時代を生きる我々は、今後もこの地域で切磋塚磨する企業家同士でありつづける。それならば、お互いを知り、友となり、互いの企業繁栄を心底願う人間関係を構築すべきであると考える。そのために、会員同士が友人としてだけではなく、同じ苦難を乗り越えた「戦友」となるような機会を提供する。
そして、昨年度友知会は20周年を迎え多くの先輩達の礎の上に現在があることを再認識することが出来た。これからの友知会をこの地域において更なる存在感を高めるために、友知会文化をしっかりと議論し唯一無二の会に成長させていくことが責務であると考える。会員増強を行うことはもちろんのこと、友知会の強みを再認識しさらに磨き上げることで、確固たる地位を確立する。
大変な一年ほど実りある一年になると確信している。どのように過ごしても2025年3月31日が来るならば、会員各々が切磋塚磨し、かけがえのない365日を過ごすことで友知会に所属している意義を感じ企業家としての成長を実感するのである。そして、成果を各企業に持ち帰っていただき、企業が繁栄存続することが友知会の役割であると断言する。
会員全員で厳しく辛くとも意義があり充足感の得られる一年を過ごしましょう。